大阪、京都、兵庫で活動する「ダイアモンドバスケットボールスクール」を展開する山口貴久さんにお話を伺いました。
―スクールの紹介をお願いします
山口:2015年に大阪府大東市でスクールを開校しました。大阪、兵庫、京都の2府1県で活動しています。4歳から中学3年生までを対象にしていて、学年だけではなく技術の習熟度でもクラス分けを行なっているので、自分のレベルに合うクラスを見つけやすくなっています。
多くの会場で開催しているので、年に1度は会場ごとで参加選手を募り、「ダイアモンドカップ」という名称でチャンピオンシップを開催しています。外部チームさんとの練習試合も盛んです。
また、U-12/U-15クラブチーム「DSELECT」の活動も行っています。部活動に制限がかかったり、部活動指導者が減少していく中でバスケを続けたい子どもたちに所属してもらっています。スクール生からのステップアップとして所属する選手も多いですね。
コーチ陣は僕を含めて20名程で、各会場を担当するメインコーチは、JBAのライセンスを保有していることはもちろんのこと、JATIや教員免許などを取得しているコーチも在籍しています。各々、バスケ経験者ではありますが、その大半に選手としてのプロ経験はありません。それでも子どもたちを導くことに関して知識豊富で個性的なコーチが多いと感じています。
―スクールで大切にしていることを教えてください
山口:「生きる力を育てる」というのがスクールとしてのミッションです。 ミニバスや部活でバスケをすでにやっていて更に上手くなりたいという子や、チームで伸び悩んでいる子に対してそれを解決に導く指導はもちろんのことですが、初めてバスケをやるっていう子もけっこう来てくれます。
最初は、ボール運動に苦手意識のある子もいますよね。 そんな子を、「バスケ選手」に育てていく過程をコーチ陣は楽しんでもらいたいですし、何より選手がバスケを楽しみながら、「じゃあバスケをもっと楽しむためには何が必要なの?」ということを考えていって欲しいなと思っています。
「楽しむ」って難しいと思うんですよ、ただ笑ってれば楽しいわけじゃ無い。人生を楽しむって意外と難しいじゃないですか(笑)そうしてバスケを始めた子が、バスケを通じて人間的にも成長してもらうよう導くことが大切だと思っています。
―スクール活動で特に印象に残っていることを教えてください
山口:まず、2015年のスクール立上げですね。よし、やろう!って決めて参加者を募ったんですけど、初回は誰も来ませんでした。その次にひとり、バスケ未経験の子が来てくれて・・・1ヶ月くらいはずっとマンツーマンレッスン。実はその時の子は、他のスポーツをするってことで辞めてしまったんです。
その後すぐに5人くらいになって、3ヶ月後には10人くらいになって。最初来てくれた子は、今はもう大人になっていると思うんですけど、自分がもっと良い指導を届けていられたらバスケを続ける未来もあったかも・・・そう思うと申し訳なくて。でもその経験が自分の中で活きています。
後は、当初からスクール生だった選手が、今アシスタントコーチとして戻ってきてくれたことも嬉しかったですし、卒業文集に「初心者でドリブルも全くつけない頃からたくさんのコーチや周りの人に優しく指導してもらって上手くなれました。これからもバスケを続けていきたいです」と書いてくれたことを知ってとても嬉しかったです。
―スクールを検討している方へ一言お願いします
山口:小学生や中学生の間は1つのスポーツに絞りすぎず色々なことにチャレンジして欲しいと思うのですが、バスケットボールをその選択肢のひとつに入れてもらえると嬉しいです。是非、お近くのスクール会場へ体験にきてもらえればと思います。
―なぜ今の活動を始めたのですか?
山口:一般社団法人バスケットボール推進会は、スクール活動だけではなくて、主に週末に開催しているバスケサークルだったり、バスケ大会だったり、バスケの裾野を拡げることを目的に色々企画してます。
僕の地元は静岡県焼津市で、大学は関東に行き、3年生の時に初めて「バスケを仕事にする」という未来があることを知りました。学生インターンからスタートした後に入社したプロストリートボールリーグ「LEGEND」(現在の3×3の礎となる)を主催する会社では、「バスケを知らない人たちにもわかりやすく、面白いと思ってもらえるコンテンツ」を発信してファンを増やすことを目的としていました。今でこそオリンピック競技になり、プロリーグも存在する3×3や、ストリートボールリーグのSOMECITYがバスケコンテンツとして定着していますが、LEGENDは草木も生えないところからの活動だったので資金面で厳しくなり、退職を余儀なくされたのです。
2009年に大阪に引っ越してきたのですが、そこから5年間はバスケットボールレンタルコートのHOOP7でマネージャーを務めました。事業の予算管理やシフト管理、バスケスクールの立上げ、運営管理、大会の企画運営などコート運営の全てを学ばせていただき、それが今の仕事に直結しています。HOOP7でも、子どもから大人まで、みんなが楽しくバスケができる環境を準備することで「バスケ楽しい!」って感じてくれる人が増えることに喜びを感じることができました。バスケでみんなが笑顔になることが、自分にとっては達成感や充実感を感じることができる瞬間なんだなって、後になって気づきましたね。
2014年の夏に退職したのですが、これまでの経験を活かして、バスケットボール推進会を立ち上げました。0からのスタートでしたが、HOOP7の時にできた繋がりで色々な人に助けてもらい、なんとか形にできました。
「バスケする場所が少ない」という声をたくさんの人たちから聞いたので、じゃあバスケできる場所は僕が自ら作っていこうじゃないか!と思い、この活動を始めました。スクール事業が柱ではありますが、大人向けのコンテンツももっと拡げたい気持ちは強いです。
―バスケットボール推進会の今後について教えてください
山口:スクール事業は、選手の育成だけではなく、指導者の育成、保護者の理解を目的として、リアルな現場の指導だけにとどまらず豊富なオンラインコンテンツを発信していくことで、バスケットボールに携わるすべての人に学べる環境を増やしていけたらと考えています。日々、ブログやYouTubeを更新しているのも、そういった未来を創造していきたいからです。
バスケットボールを楽しんでもらうためには、場所が必要です。今よりもさらにプレーできる場所を増やしていきたい。それをやっていきたいし、やるしかないと思っています。バスケットボールを遊びつくせる日本を目指しています。