Jr.ウインターカップへの2度出場、男女ともにU15 CLUB GAMES出場などの実績がある北海道のNORD BREZZA代表として活動をされている松橋修平さんに、クラブの設立のきっかけやこれからの今後のビジョンのお話などをお聞きしました。
―これまでのバスケットボール歴を教えてください
松橋:小学生の頃にバスケットボールを始めました。選手として都道府県大会止まりで全国大会のような華やかな舞台を経験することはありませんでしたが、幼い頃から「将来は指導者になる」という想いを抱いていました。大学生時代、怪我をきっかけに学生コーチとしての道を歩み始めたことが、現在に至る指導者人生の始まりになりました。そのため、周囲の指導者よりも早い段階で指導現場を経験し、学ぶことが出来ました。恩師のご縁で日本各地の指導者の元に学びに行ったり、アメリカや韓国にも足を運ぶ機会を頂き、戦術や戦略はもちろん、コーチングの在り方や育成方法などを学ぶことが出来ました。
これまでの指導経験や指導実績としては、高校生を5年間、大学では創部から8年間を指導し、現在はU15と社会人チームで指導を行っています。以前の大学指導では創部から始まり、最短で北海道大会優勝、大会連覇も達成し、全日本大学バスケットボール選手権(男女インカレ出場も達成)には7回連続出場を果たしました。社会人選手権でも創設から北海道大会優勝を続けて全日本社会人BB選手権には4回の出場、更には北海道初となる東日本地域リーグ参入という貴重な経験も積ませていただきました。
そして、現在は主として指導しているU15の育成クラブでは、昨年は女子チームが下級生中心ではありますが、U15選手権北海道大会で優勝を果たし、クラブ3回目となる育成年代の最高峰の舞台、Jr.ウインターカップに出場して参りました。また、北海道U15クラブカップを男女アベック優勝をし、愛知県で開催される「U15 CLUB BASKETBALL GAMES(全クラ)」にも連続出場させて頂きました。

※大きな刺激を頂いた本永さん(左)とトーステン・ロイブル氏(真ん中)
―今のクラブを始めたきっかけを教えてください
松橋:U15クラブの立ち上げは、大学での指導経験が大きなきっかけです。特待生制度もスカラシップもない、いわばゼロからのスタートでしたが、地道に「育成」と「強化」に取り組むなかで、無名の選手たちが少しずつ成長し、都道府県優勝を目指すチームへと変わっていきました。
その経験を通じて強く感じたのは、「どんな選手にも可能性がある」ということ。高校時代は目立たなかった選手でも、努力と継続で全国の舞台に立てることを目の当たりにしてきました。だからこそ、もっと早い段階でその可能性に気づき、支援できる環境が必要だと考え、U15世代のクラブチームを設立しました。
私たちのクラブは、選手にとって“挑戦の楽しさ”を感じられる場所でありたい。努力を積み上げた先に、自分でも想像していなかった成長があると信じられるような、そんな環境づくりを常に目指しています。

―指導者のやりがいや大変だったこと、嬉しかったこと
松橋:U15クラブの設立は、大学での指導経験が大きなきっかけですね。特待生制度もスカラシップもない、言わばゼロからのスタートでした。地道に育成と強化に取り組み、高校時代に試合に出ていなかったり、地区予選負けの選手だったり、本当に無名の選手たちが劇的に成長をし、優勝や連覇をするチームへと変わっていく物語のようなチームでした(笑)そんな経験を通じて一番に感じたのは、どんな選手にも輝く力があるし、大きな可能性を秘めているということです。
高校時代は目立たなかった選手でも、正しい努力とその積み重ねが出来れば全国大会の舞台に立てるということを目の当たりにしてきました。だからこそ、大学生になるもっと早い段階でその可能性に気付かせることが出来たり、自分の経験によって選手に少しでも何か還元出来るのであればという想いからU15育成世代のクラブチームを設立しました。

―各カテゴリの違いや大切にしていること
松橋:私がこれまで様々なカテゴリ指導してきた中で感じたことは、それぞれの年代において成長の鍵が異なるということです。高校生では「仲間」、大学生では「自分自身」、そして育成年代では「保護者」が重要だと考えています。
まず、育成年代においては、選手が自立していくために、保護者がどのような“アシスタントコーチ”として関われるかが非常に重要だと考えています。例えば、選手に任せる勇気、チーム方針を理解し応援する姿勢、そして励ましや支えとなる関わり方。それらは選手の育成にとって大きなプラスとなると思いますが、一方で、「主役」が保護者になってしまうケースをよく耳にします。選手の自立心や責任感が育ちにくくなってしまったり、保護者の様子を気にして本来の力が発揮出来ない選手も多くいると思います。育成年代の選手でも自分なりの答えを持つことが大切で、自分の考えを持つことが凄く大切だと思っていますし、合ってる間違っているは関係なく、自分の思った答えを出せるような選手にならないといけないと思っていますが、全てを選手に預けるわけではなく、選択をさせていくことで覚悟を持たせたりする必要があったり、難しい領域になってくるんだと思っています。
その上で、高校生にはいかに「仲間」と出会えるかが大きな差を生むと考えています。時に衝突や迷いもありますが、共に乗り越えることで絆が深まり、思い出や経験が頑張るエネルギーになります。「この仲間とだから頑張れた」という時間こそ、かけがえのない財産に変わって行くと思っています。
最後に大学生は「自分自身」との向き合う時間が大切だと思っています。バスケットを辞めたくなることもあると思うし、何をやるかを自分で選択していくことと、なぜやるのかの選択を考えることが大学生年代には凄く求められる力だと思っています。時間の管理や目的意識、自主的な行動も含めて、誰かに与えられるのではなく、自分で選び、自分で動く。24時間を自分自身でデザインする力、選択していく力を身につけるために、自分との向き合う時間が増えて行きます。これまでの経験で自分の軸を大学生になった時に育てられるかどうかが、競技としてだけでなく人生における大きな成長の分岐点になると感じています。
そして、どの年代においても競技的な話で共通して言えるのは「強くなるのは容易ではなく、しっかりと正しい努力を積み上げていかないとならないということ。そして弱くなることのは一瞬ということ」ですね。指導者が変わった途端に一気に弱くなることがあったり、積み重ねることを辞めると一気に力が落ちてしまったり。結果はどうあれ、自分で覚悟を持ったことや決めたことを最後までやり遂げるということを大切にすることが大切なんだと思っています。

―チームの紹介・特徴を教えてください
松橋:私たちのクラブでは、「CHALLENGE & HARDWORK」というスローガンを掲げ、常になりうる最高の自分を目指して全力で取り組むことを一番に考えています。その積み重ねと積み上げの努力だけが、選手たちを支える大きな自信を作るからです。
チームの特徴としては、「本気」にとことんこだわる文化を築いていることが挙げられます。年齢や経験に関係なく、全員が全員を鼓舞し、全力で声をかけ合い、練習の場そのものが熱気とエネルギーに満ちている空間を目指しています。
また、これまで元日本代表のコーチやプロ選手、NBAチームで指導するコーチなど、国内外の指導者によるクリニックの機会も多く設けています。中学生や高校生が、そのような存在と直接関われることは、想像を超える大きな刺激となり、その経験が将来の何かの目標に影響を与えられたら良いなと思っています。私が一番に思うのは将来、目の前の選手たちがバスケットの業界で生きるかもしれないし、もしかしたら指導者になるかもしれません。だからこそ、今の指導が彼ら彼女等の礎になるかもしれないと考えたら、正しいことを指導しなければならないし、努力によって自信がつき、素晴らしい景色が見られるようになってくれたらと思っています。
また、私たちのクラブでは卒業生から多くの世代別代表の選手が出ていたり、高校に行って一年生から試合に出してもらったり、主力として活躍していたり、チームの主軸になる選手がほとんどです。それ以上に「練習の雰囲気作れる選手」や「気持ちの強いハードワーク出来る選手」と言われることも多く、上手い下手以上にチームに欠かせない選手になって欲しいという想いが一番に強いです。将来、プロを目指す選手だけでなく、人生の土台としてバスケットボールを楽しみ、成長することもクラブの大きな目的の一つです。大人になったとき、「あのときの経験が生きている」と思えるような、人の心に火を付けられるそんな人材育成を目指しています。

※NORD BREZZAでの活動の様子

―今後のビジョンを教えてください
松橋:今、取り組んでいるバスケットボールは「教育」事業の一つだと思っています。たかがバスケットボールで何が出来るんだろうと思われることも多々あると思いますが、たかがバスケットボールが誰かの力になることはあるし、自分もそうだったように人生において大きなキッカケになることもあると思っています。たかがと言われることに本気になれる人間になりたいと思っていますし、そこに価値を見出せる人間になりたいですね。
私たちのクラブでは「礼儀を重んじています」や「人間教育を重視しています」といった言葉をあえて掲げていません。全ては、バスケットボールが教えてくれることだからです。人のために動くことが自分のためになったり、自分の行動が仲間の成功に繋がるということが体感出来ることがバスケットボールの素晴らしさだと思っているからです。
試合に対しての準備やコートに立つ意味、コートに立てる想いなど、様々な部分をどう捉えるか、どう伝えるかで結果も成果も変わっていきますし、「なぜ挨拶をするのか」「なぜ靴を揃えるのか」——そうした“なぜ”を自分で考え、意味に気付くことで、行動が自発的に変わっていくと信じています。そう言った意味でこれからも選手に気が付かせる指導というよりも気が付かせる環境を作っていきたいですし、選手の素晴らしい力を引き出せる環境を突き詰めていきたいです。
バスケットで生きていける選手はほんの一握りかもしれません。でも。バスケットの経験を生かして社会で活躍することは、誰にでもできます。その可能性を信じて、今後も選手一人ひとりの未来を支える環境づくりに努めていきたいと思います。


